七十五座漂着の地 ― いすみの海に残る、静かな祈りの風景

七十五座漂着の地 ― いすみの海に残る、静かな祈りの風景

千葉県いすみ市岩船。太平洋に面したこの海岸には、「七十五座漂着の地(しちじゅうござひょうちゃくのち)」と呼ばれる、
少し不思議で、どこか胸に残る場所があります。
派手な観光施設があるわけでも、大きな看板が立っているわけでもありません。
ただ、目の前に広がるのは、波の音と空の広さ、そして長い時期を越えて語り継がれてきた"伝説"だけ。
2月の澄んだ空気の中で訪れると、この場所の持つ静けさと物語性が、より深く感じられます。


七十五座漂着の伝説とは

「七十五座漂着の地」という名は、今からおよそ1200年以上前、平安時代初期に伝わる伝説に由来しています。
遠い異国から、七十五体もの仏像が船に乗ってこの地に漂着した――そんな言い伝えが残されています。
村人たちは、これを尊い仏の導きと受け止め、それぞれの仏像を祀ったとされ、
現在も周辺には寺社や石碑が点在しています。

史実としてすべてが証明されているわけではありませんが、
海とともに生きてきた土地だからこそ生まれた信仰と祈りの形が、
この伝説には込められているように感じられます。
観光地というより、「物語の残る場所」。それが七十五座漂着の地の大きな魅力です。

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2月に訪れたい理由 ― 静けさが際立つ季節

七十五座漂着の地は、一年を通して訪れることができますが、特におすすめしたいのが2月。
観光客が比較的少なく、海岸全体がとても静かになります。
冬の海は荒々しいイメージを持たれがちですが、晴れた日の太平洋は空気が澄み、
水平線がくっきりと浮かび上がります。

冷たい潮風の中、波の音だけが響く海岸を歩いていると、自然と足取りがゆっくりになり、
考えごとが整理されていくような感覚に。
忙しい日常から少し距離を置きたいとき、2月の七十五座漂着の地は、心を落ち着かせてくれる存在です。

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周辺スポットと合わせて楽しむ

七十五座漂着の地を訪れたら、近くの岩船地蔵尊や海沿いの散策路とあわせて巡るのもおすすめです。
少し足を伸ばせば、太東埼灯台や夫婦岩など、いすみ市ならではの海景色も楽しめます。
2月はいちご狩りシーズンとも重なるため、午前中に海岸散策、午後にいちご農園という組み合わせも、冬らしい楽しみ方です。

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何度も訪れたくなる、余白のある観光地

七十五座漂着の地は、一度で「すべてを理解する」場所ではありません。
むしろ、訪れるたびに感じ方が変わる、余白のある観光地です。
晴れた日、曇りの日、波が穏やかな日、荒れている日。季節や天候によって、表情が大きく変わります。

2月のいすみ市は、春の気配を少しだけ感じられる季節。
そんな時期にこの地を訪れると、長い時間を越えて受け継がれてきた土地の記憶と、
自分自身の今の気持ちが、静かに重なる瞬間があるかもしれません。

にぎやかな観光に少し疲れたとき。
心を整える旅をしたいとき。
七十五座漂着の地は、そっと寄り添ってくれる場所です。

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